1.最低最悪な誕生日

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  「――っ、あんっ、ふ、文也(ふみや)さん、あぁっ・・・・」  どうして今、こんな事になっちゃったんだろう。  どうして  どうして――  私の頭は、『どうして』ばかりが回っている。  四年もお付き合いしてきた彼氏――日下部文也(くさかべふみや)に、今日あたりプロポーズして貰えるのではないだろうかと、勝手に期待をしていた三十歳の誕生日。それは今日だ。今日。  そんな記念すべき日になるであろう誕生日の当日。  何故、彼氏の部屋で他の女の嬌声を聞いているのかな?  しかもクローゼットに身を潜めている状態で。  これ、私がすぐ出て行ってもいい案件? 悪い案件? 「可愛いよ」  クスクスと悪戯に笑うのは、まぎれもなく文也の声。          。  いやいやいやいや、待って。待って。待って。  衝撃的過ぎて、涙も湧いてこない。
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