8479人が本棚に入れています
本棚に追加
「――っ、あんっ、ふ、文也(ふみや)さん、あぁっ・・・・」
どうして今、こんな事になっちゃったんだろう。
どうして
どうして――
私の頭は、『どうして』ばかりが回っている。
四年もお付き合いしてきた彼氏――日下部文也(くさかべふみや)に、今日あたりプロポーズして貰えるのではないだろうかと、勝手に期待をしていた三十歳の誕生日。それは今日だ。今日。
そんな記念すべき日になるであろう誕生日の当日。
何故、彼氏の部屋で他の女の嬌声を聞いているのかな?
しかもクローゼットに身を潜めている状態で。
これ、私がすぐ出て行ってもいい案件? 悪い案件?
「可愛いよ」
クスクスと悪戯に笑うのは、まぎれもなく文也の声。
良く知っている、私の彼の声。
いやいやいやいや、待って。待って。待って。
衝撃的過ぎて、涙も湧いてこない。
最初のコメントを投稿しよう!