1.最低最悪な誕生日

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  「そのうち、ね」  グッと文也の身体がその若い彼女の身体に沈んだのだろう。嬌声が派手になり、卑猥なワードを連呼した。文也の名前を交えながら。  耳を塞いだが、すぐ傍で繰り広げられている地獄は、簡単に私の掌の防御なんかすり抜けて鼓膜へ到達する。  そのうち・・・・私とは別れるつもりだったんだ。  文也・・・・酷いよ。こんな酷い仕打ちって無い。  私で満足できないなら、きちんとそう言って、別れて欲しかった。 『怖がらなくていいよ』 『出来なくてもいいんだ』 『触れ合うだけでいい』 『徐々に慣らしていこう――』  文也の言葉が蘇る。初めての彼で、初めての事ばっかりだったから、セックスは知らないし、上手くできなかった私が悪いのだろうけど。  でも、いいよって言ってくれたじゃない。  上手くできなくてもいいよ、って。  貴方とセックスする度、辛そうに私がしていたから、やっぱりダメだったんじゃない。  だったらちゃんと、そう言って欲しかった。  
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