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「そのうち、ね」
グッと文也の身体がその若い彼女の身体に沈んだのだろう。嬌声が派手になり、卑猥なワードを連呼した。文也の名前を交えながら。
耳を塞いだが、すぐ傍で繰り広げられている地獄は、簡単に私の掌の防御なんかすり抜けて鼓膜へ到達する。
そのうち・・・・私とは別れるつもりだったんだ。
文也・・・・酷いよ。こんな酷い仕打ちって無い。
私で満足できないなら、きちんとそう言って、別れて欲しかった。
『怖がらなくていいよ』
『出来なくてもいいんだ』
『触れ合うだけでいい』
『徐々に慣らしていこう――』
文也の言葉が蘇る。初めての彼で、初めての事ばっかりだったから、セックスは知らないし、上手くできなかった私が悪いのだろうけど。
でも、いいよって言ってくれたじゃない。
上手くできなくてもいいよ、って。
貴方とセックスする度、辛そうに私がしていたから、やっぱりダメだったんじゃない。
だったらちゃんと、そう言って欲しかった。
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