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周太君と燃え上がった金曜日の夜とは裏腹に、土日は燃え尽きた。お試しのメイクラブは一度や二度で終わらず、散々な目に遭った――というより、その日知り合った素性も知らない男にたっぷりと愛された。
今までの不感症が嘘だったかのように、私は感じた。
手練れで、身体の相性がよかったのだろう。あんな経験はもう二度とする事はないと思う。
土曜日の朝、周太君とは綺麗に別れた。お礼を言って、さようなら――ただ、それだけ。
上手い事を言っていたけれど、私以外に他の顧客がいるだろう。契約彼氏とか言うふざけたホストみたいな男、私には無理。手に負えない。だから、あれで良かったんだ。
三十歳という、女性なら誰でも節目になる年齢に、恋人からの裏切りは酷い。悲しすぎる。
周太君は契約彼氏なんかじゃなくて、きっと私を哀れんだ神様が遣わしてくれた派遣彼氏だと思う事にした。
まあ、そんな派遣彼氏のお陰で、文也や杏璃の事でショックだった心が救われた事には間違いない。
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