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見る目が無かっただけ。
文也の飾りにならなくてよかったと、そう思うから。
人の男を寝とる――それだけ最低な事を悪びれもせずやってのけるのだから、そろそろ商品開発の一端を彼女一人に任せてもいいだろう。文也と勝手にイチャイチャしながらやればいい。私には別の営業担当を付けて貰うから。早速、お願いしよう。
杏璃と対峙するのに、無様な顔は出来ない。レストルームに行って自分の姿を確かめようと思って席を立つと、登録の無い番号から電話がかかってきた。午前八時過ぎの朝早い時間に、一体誰だろう。
「もしもし」
離席し、休憩室の方に向かう為にヒールを鳴らして廊下を小走りしながら電話に出た。
『あ、珠ちゃん? オハヨ。俺、佐伯周太だよ』
「周太くん?」
そういえば念のためにって、番号交換しておいたんだっけ。私の番号、登録してくれたんだ。こっちは登録しなかったからなぁ。
こんな朝早くに、一体何の用かな。
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