序章④

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そのセレブ御用達店 〔手々・LOSS・たいむ〕に私が……? どうしても、しっくり来ないと言うか、 言葉が悪いですが、彼のお母さんの 勘違いのように思えます。 人を騙すような人では絶対にないので、 間違えたんだろう…。 私は、そう思いました。 でも、もし、事実・本当なら、 憧れのお店に行けるのです! また、それならそれで、早く電話して、 正式に時間も決めないといけません。 私は、失礼を承知で、 彼のお母さんに電話してみました。 あのう、金曜日のお店の名前、 もう一度確認させて いただきたいのですが……、 と言うと、彼のお母さんは笑いながら 言ってくれました。 「ちゃんと説明し忘れてたわ。 ごめんなさいね。 私から、今、かけようとしてたところ……。 それでね、うちの家族にね、 新宿のその…… 〔手々・LOSS・たいむ〕……? そこの会員がいたのよ。 私じゃないけどね……。 それでね、私が話したら、 うちに嫁に来る人だからってことで、 特別に予約してくれたの。 なんか、そこの店長さんと 仲良しみたいだから……。 だから、真子さん明日、安心して 行っておいでね。 もうちゃんと、全部予約とか やってくれてるから、彼女が。 ……私は行ったことないけれど、 彼女が言うにはスゴイ有名な お店なんだってね。 あっ、あとね、もう、真子さんも会員に なれるように、彼女が、そう言う手筈も 整えてくれてるそうだから、 手続きして来てね。」 「ありがとうございます。」と言って、 私は受話器を置きました。 そして、ガッツポーズしました! 夢ではないのです! 本当に、私は、金曜日に 〔手々・LOSS・たいむ〕に 行けるのです。 しかも、会員にも……! 「幸せすぎて怖い。」と 呟いてしまいました。 でも、怖さなんて、ありません! ただ、喜び踊りたい、って感じです。
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