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序章⑤
それと、彼のお母さんは、
電話で、食事にも誘ってくれました。
それが、何よりも嬉しかったです。
正直言うと、金曜日
〔手々・LOSS・たいむ〕に行けること
よりも、
金曜日彼の家族と一緒に
食事できることの方が、
私にとって嬉しいことなのです。
本当に涙が出るほど、嬉しいお誘いでした。
彼のお母さんは言ってくれました。
「あと……、そのお店のコースを
受け終わってから、うちに来れないかしら?
もし、時間とか予定が
大丈夫だったらだけど……。
うちの家族が集まって食事するんだけど、
もし、良ければ、真子さんも、
って思ったの……。」
どんなに、あの瞬間、幸せを感じた
ことか……。
こんなに優しく、思いやりの溢れた人の
家族になれるなんて……。
私には、分かっています。
あの提案・お誘いは、彼のお母さんの愛と
優しさからのものです。
私のことを気遣って、
私を誘ってくれたのです。
彼のお母さんは、私の両親がもう
他界していて、
実家と言うものが、私にはなくて、
身内は愛媛にいる大伯母だけだと言うことを
ちゃんと分かってくれていて、
私に電話をかけてきてくれたのです。
……ちょっと話がそれるかもしれませんが、
大伯母について、しゃべらせてください。
私は、小さいころから、
おばさんと呼んでいますが、私にとって
【伯母】にあたる人でなく、
大伯母と言う通り、
亡き母の【伯母】に当たる人です。
それに、彼女は、私にとって、大伯母以上の
存在なのですが、そのことについては、
またあとでご説明できればと思います。
そのおばさんに……、
あっ、大伯母の名前は、雪子と言います。
そう、雪子おばさんに、彼と私との
結婚のことを知らせた時、
本当に喜んでくれました。
電話の向こうで、まさに、飛び上がるか
のように喜んでくれたので、私は、
「あぁ。雪子おばさんのために、
結婚を早く決めて、良かった!」
と思いました。
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