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序章⑥
思い返せば、彼にプロポーズされた時から、
幸せの連続でした。
いえ、彼と、ある街で、もっと言えば、
都内の商店街で、再会した日から、
幸せの連続です。
この半年間は、私のこれまでの人生の
どの季節よりも、充実していて、美しくて、
キラキラしたものでした。
……正直言うと、私のそれまでの
二十数年の歩み、生き様は決して、
皆さんに誇れるものではなく、
強いて言えば、隠しておきたい、
そんな日々でした。
こんなこと言うのもなんですが、
でも本当のことです。
……私は、誰かに誇れるような家柄も
学歴も職歴もありません。
逆に言えば、最悪の血筋を
継いでしまっている者です。
絶対に、誰にも言えないような血を継いで、
私はこの世に生まれたのです。
そんな私に、遡れば江戸時代までの
ご先祖様の名前が全部分かると言うほど、
由緒正しい家柄の彼が、
プロポーズしてくれたのです。
しかも、私の過去の歩みや彼と出会う
直前まで夜の世界で働いていたことも
知った上で……。
私は、彼のような男性は
他にはいないと思います。
まさに、私のために定められた男性……、
大げさに聞こえるかもしれませんが、
本当に、私はそう信じています。
前に、フッと思いました。
「私のように、凶悪な男の汚れた血が
体内に流れてしまっている女を、
それを知りながら愛してくれる男は
彼しかいない。」って。
今でも、そう思っています。
その彼と、明後日には結婚して、
花嫁として、祝っていただけるのです、
この私が。
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