序章⑥

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こんな私が、妻として、 一人の男性と結ばれるのです。 そして、柳沼真子と言う名前から 栄真子と言う新しい名前に変わるのです。 でも、その前に……、幸せ溢れる新婦となる 結婚式の前に、私は、あの日 のことを ちゃんと整理し、また、皆さんにも 聞いていただきたいのです。 私の人生を根本的に揺り動かし、 暗黒の世界へ私を叩き落とした、 あの事件が起こった あの日 のことを……。 私は、あの日 完全に悪いモノに捕まり、 悪いモノの手に堕ちました。 そして、その日から、私の人生は、 恥と痛みと苦悩と罪にまみれた、 それらから逃げられないものとなって しまいました。 半年前に、ある刑事さん、 そして、彼と出会い、 その暗黒の縄目が解け去るまでは……。 私は、まさに、悪い存在に捕えられ、 また、私を責め、苦しめ、 いたぶる存在から ずっと追われ続けていいたのです。 そして、私自身も、一時期は、 破壊する側の一員となり、 獲物を追い続けていたのです。 でも、今は違います! 絶対に違います‼ 悪い存在から追われていませんし、 私自身、もう、誰かを付け狙って、 追おうとはしていません。 そう、まさに精神的にも肉体的にも 社会的にも自由になった気分です。 いいえ、本当に、それらすべての点で、 私は、自由になりました。 自由を獲得しました。 なぜ、自信を持って、 そう言い切れるのか……? それは、今、私が、はばかることなく、 これらのことを証言、 告白できるからです。 一切恐れはありませんし、 恐怖はありません。 しゃべったら、どうなる……とか言う 不安もありません。 ありのまま、告白できます。 だから、自分が自由だと、確信を持って、 言えますし、その自由を体いっぱい 感じているのです。 ありのまま告白できる、ウソ偽りなく 証言できると言うことは、 自由だということの 証明ではないでしょうか? いろいろなしがらみがあると、 人は自由に告白、宣言できません。 悪意ある誰かに監視されているなら、 人は声を上げることができません。 しがらみ、恐れ、弱い立場、抑圧ゆえに、 単純な、「素晴らしい!」、 「やめてください!」、「好きです。」、 「助けてください!」、 「一緒にやりましょう。」、 「こうでした。」、「ああでした。」が 言えない、そんな人々が どれ位いるでしょうか? 私も昔は、その中の一人でした。 そして、これは、ある意味、世間一般の 大人の社会でも、そうだと言えます。 大人の社会の、色々なしがらみ、利権、 お金の都合で、縛りがあり、 自由に発言できない……のです。
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