【1】穏やかな始まり

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「ほら、放すんだ。自分では駄目だ。俺が全部するから。先生にはさせない。触らせない」 「だって、これは……」 「先生を達かせるのも、感じさせるのも、全部俺だ」 「でも――」 「俺じゃないと駄目だ」 「そんな」 「今日からオナニーも禁止だ。一緒に暮らしたらそれも必要ないだろう」  自分の先走りで濡れた手を外される。お互いの指の間から艶めいたピンク色の亀頭が見えて、その卑猥さにドキリとする。 「全部俺がする。何もかもだ」  先生は俺のものだからなと、囁かれながら抱き上げられた。そのままリビングを出て寝室まで運ばれ、ベッドの上に寝かされる。体がシーツに心地よく沈んだ。  ――あ……。  前髪を上げられておでこにキスされる。  じっと見つめられた。 「俺の手で達くか、俺のもので達くか、中に出されて泣きながら達くか、どれがいい?」  そんなのは選べない。  絶対に選べない。  だって、全部だから。  全部、何もかも伊武の言う通りだから。  覆いかぶさってくる伊武の首に腕を回して応える。  惣太ができるのはただ一つ。好きと言うことだけだ――。 「ファーストコール3 ~恋するヤクザのファミリー・アフェア~」 第一章 冒頭お試し読み(了)
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