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田中がこの近くにある甘味処のパフェをどうしても食べたいというので、二人で店に入った。休日のせいか、中は家族連れやカップルで混雑しており、席がほとんど埋まっていた。和三盆と爽やかな抹茶の匂いがする。店員に案内されて奥の二人掛けの席に座った。
「ここの抹茶パフェ、マジで美味いんすよ。惣太さんも、ぜひ。――あ、これです、これ」
向かい側に腰を下ろした田中が笑顔でメニューを見せてくる。どうやらここは、お茶の専門店が経営している和カフェのようで、パフェ以外にもわらび餅やお団子、ほうじ茶のかき氷などもあった。田中の勧めで抹茶パフェを注文する。
「最近、カシラとどうですか? 相変わらずラブラブですか?」
「ラブラブ……うーん。どうだろう」
「カシラはそろそろ一緒に暮らしたいとか言ってましたけど」
「……うん」
惣太はそのことでも頭を悩ませていた。伊武は今すぐにでも結婚したいという。伊武組の本宅に離れを造り、そこで暮らす計画を立てているようだ。過去に本人から綿密な人生設計を見せられたこともあった。
別に嫌なわけではない。
伊武のことは大好きだ。ずっと一緒にいたいと思う。
これまでも、これからも、伊武以外に好きな人は現れないし、一生を共にしたいと思っている。本音を言えば自分の方がずっと好きなくらいだ。
ただ、まだ心の準備ができていない。
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