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「あのう、ヨギさん、ヨギさんの家の間借り人て、もうきまっているんですか?」
「いえ、まだです。探しているんですがこちらの条件に合う人がなかなかいなくて困ってます」
「私が借りてもいいですか?」
私はさりげなく聞こえるように聞いてみた。
ヨギさんが足を止めて、驚いたように私を見た。ヨギさんの多分シワの多い脳みその中で高速で私の言葉が回って分析されているのが解った。
私はかいつまんでヨギさんに実家に逃げてきた経緯を話した。
ヨギさんは黙って聞いてくれた。
「そう言うわけで、私はとにかく一人の一個人になりたいし、安心して過ごせる場所を探しているんです」
ヨギさんは暫く考え込んで、それから私に真面目に答えてくれた。この提案の最大の穴に気がついたみたいだ。
「魅力的な提案ですが、ひとつ大きな問題があります、ヒソカさんが女性だと言うことです。私と同じ家に住んでいたら、様々な被害を受けます」
「ヨギさんは私がそう言う意味で好きですか?」
「いえ」
即答だ。幸先いい。
「なら問題ないでしょう、私もそう言う意味ではヨギさんに興味ありません。他の人にどう思われても構いません、どうせ外国の女ですから多少変わっていても許されるでしょう?」
ヨギさんはまた考え込んだ。
「韓国は保守的な国ですから同じ家に住んでいるとなると人目を引きます。それを逆手にとる方法もあります」
「?」
「あの、お時間があるときでいいので、私と結婚しませんか?」
「………なるほどー、皆納得しますね。そこまで考えが回りませんでした、想定外の提案です」
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