25人が本棚に入れています
本棚に追加
「下僕、非常食よ」
「飲む気がしないので、いいですよ」
「いつ喉が渇くか分からないし、いきなりなみかを喰べられないでしょうに」
「お聞きしたいのですが、この血の入手先、医者ですか?」
私の心配をよそに、話題を変えた。
「そうよ」
素気なく答える。
前々から、妙に入手先を気にしているわね。
「出来れば、会わないで頂きたいのですが」
「何故?」
「これを入手するのに、貴女が身を犠牲にしていると思ったら居たたまれないからです。朝帰りの理由はそれでは?」
朝帰りの理由? 私が身を犠牲にってどういう……?!
「身売りなんてしてないわよ!!」
「その証拠は?」
「証拠って……」
そんなもの、あるわけない。
いいえ……。
あるにはあるけど、下僕には言いたくない。
「とにかく、なみかが大変なんでしょ。行くわよ」
さっさと部屋を出て、キッチンへと向かう。
そう言えば、神父は結婚式をしたカップルの初めての夜に立ち会う仕事があったわね。
神の前で誓った言葉が、肉体によっても成立したことを確認する為だと聞いたことがある。
下僕も、戦闘部隊所属とはいえ一応神父。頓珍漢な口説き方をしてくるのは、もしかしてそんな現場ばかり見て来たから……?
早々に、ネグリジェを襟元が詰まったものに変更した方が良さそうね。
最初のコメントを投稿しよう!