episode2

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シャワーを浴びてスウェットに腕を通すと、指先がぎりぎり出るほどの大きさだった。体格の違いに、余計に胸がくすぐったくなった。  なんだこの感覚。  ――惚れちゃったってわけ?  伊月の言葉がリピートする。そう言われても仕方が無いような、この感覚を取り払いたくて、タオルでわしゃわしゃと雑に髪を拭いた。  リビングに戻ると、ナカノがソファーに座ってテレビを見ている。  帆多留が戻ってきたことに気付いたらしいナカノは、 「ねえ、市瀬さん出てる」  と、なんとも嬉しそうに言っては手招きする。その人懐こい笑顔に心が弾んだことには気付かないフリをして、ナカノの隣に腰掛けた。  狭いソファーのせいで、膝と膝がかすかに当たる。  テレビ画面を見ると先程出演したばかりの音楽番組が流れていた。 「録画?」 「トレンド知るために、この音楽番組、毎週欠かさず録ってるんすよ」  アイドルしている自分を、隣で見られているのは正直恥ずかしい。 「すごいなあ、市瀬さんがテレビにも隣にもいる」  羞恥を感じている人の気も知らず、楽しそうに言うナカノ。 「……なあ、俺が、こう、テレビと素でキャラ全然違うの、何とも思わねーの?」    帆多留は気になっていたことを問い掛ける。 「んー? たしかにちょっと、違いますよね、市瀬さん」  ちょっと、どころか全然違うと思うんだけど。  こんな需要のないギャップ、引かれていてもおかしくないよな。そう考えると虚しくなってくる。  けれどナカノの続ける言葉に、帆多留は驚かされた。
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