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彼女より? 軽々? 持てた?
普段彼女のことも、姫抱っこなり何なりで、ベッドに運んだりするってか。
そんでそのまんまベッドでイチャイチャしてその先までするってか。なんだよ、惚気か。
はー、と長い溜息を吐いて、髪をぐしゃぐしゃと掻き上げる。
「俺お前のこと嫌いだわ」
携帯灰皿で煙草の火を消して立ち上がる。
「え」
呆然とするナカノを置いてリビングに戻り、部屋主面でソファーに横になる。
――俺はガキか。面倒臭い女か。
ただ嫉妬しているだけなのに、八つ当たりして、すげえ嫌な奴。
「そんな嫌でしたか」
しょぼしょぼと言うナカノが、ソファーの下にしゃがみ込んで此方を見上げた。さすがにこのままの態度では駄目だと分かっている。
何か、言わなくては。
「さすがに……男に運ばれたのはプライドが傷付いた」
違う。そんなの、思っているわけない。
「ごめんなさい」
いよいよ落ち込んでしまったナカノが、捨てられた犬のように見えてくる。
いい加減、話しを方向転換、しなくては。
「……朝メシ、なんか、作ってくれたら許す」
正直、腹が減っているわけではなかったけれど。打開の言葉を、これくらいしか思い付かなかった。
ナカノの顔に途端に笑みが戻ってくる。
「簡単なので良ければ」
そう言って、リビングと対面になっているキッチンに向かったナカノは、いかにも一人暮らし用サイズの小さな冷蔵庫から卵とベーコンを取り出した。
食パンをポップアップトースターに突っ込んでからフライパンにベーコンと卵が落とされる。
いい匂いが漂ってくる。朝食の匂いだ。
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