episode3

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「え?」  彼女と帆多留の声が重なる。 「隣の部屋に住んでる田中さんっていうんだ。昨日初めて会って仲良くなってさ、昨日から泊まりがけで引越しの手伝いしてもらっちゃってて」  夕希の自然なフォローに、胸がきゅうと疼く。 彼女に嘘をついてまで、自分を守ってくれたことが、嬉しくて、切ない。 「なんだー、そうだよね。本物のわけないか」  彼女は夕希のとっさの嘘を信じたようで、笑いながら、でも本当そっくりー、と続けた。 「そうなんです。最近よく帆多留に似てるって言われるから、髪型とか意識しちゃって」  帆多留もつとめて自然に笑って言う。 「あははっ、そのルックスだとめっちゃモテそう」  彼女はすっかり信じ込んでいる様子だ。 「全然ですよー」 「街で間違われて声掛けられません?」 「さすがにそれはないかなー」  もういいだろ。  初対面なのにすげー喋るじゃん。  随分と話しかけてくる彼女に、心の中で舌打ちをする。    なんというか、夕希も彼女も、社交的だ。  こんなふうに出会ってすぐに打ち解けたのだろうか。  泣きそうになるのを堪えて、 「じゃあ、俺、帰ります」  と、夕希に視線を送る。
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