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B放送局でのバラエティー番組収録が終わり、夜10時に帰宅する。
夕希の部屋を出たあと、結局どこに行く気にもなれず咲久に電話を折り返して部屋に来てもらった。
もう少し寝たかったんだけど、と、ぐちぐち言われたけれど、何だかんだ来てくれた咲久の存在が心強かった。
1人でいたら、落ち込みっぱなしだっただろう。
咲久への今日の借りは、仕事終わりにスタバを奢ることで返した。
仕事では今日も完璧にキャラを作った――はずだ。
基本は出演者の話を静かに微笑んで聞き、司会の芸人に話を振られれば、それなりにいくつか天然っぽい発言をして、ちょうどいい笑いも取れた。
お疲れオウジサマ。自分で自分を虚しく労いつつ、間接照明だけをオンにして暗いリビングのソファーに仰向けになる。
L字型の大きな革製ソファーは、夕希の部屋の小さなソファーよりやはり寝心地は良いけれど、あの、2人掛けのパブリックソファーが恋しくなった。
今頃、彼女と座っているのだろうか。
この時間ならもう、2人でベッドに居るかもしれない。
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