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キス?
キスされてる?
脳内がパニックに陥り、抵抗も何もできずに、そのまま何度も角度を変えて降ってくる口付けを大人しく受けてしまう。
いつの間にか、唇の隙間から口内に舌が入り込んできて、ようやく状況に追いついた思考が、やばい、止めないと、と焦り出す。
抗うように胸板を押してみるけれど、気付けば後頭部も抑え込まれていて、びくともしない。
力の差を思い知らされて、こんな時なのに少し、きゅんと胸が高鳴る。
歯列をなぞられ、舌先を吸われて口淫するように前後に夕希の顎が動く。
「ふ、……あ、……待っ、ゆ、……き」
太腿がくすぐられているようなぞくぞくとした感覚と同時に、腹奥が疼いてしまうのがわかる。
想像していたよりももっと情熱を含んだ深い口付けにうっかり酔いしれそうになる。
けれど。脳裏に夕希の彼女の笑う姿がチラついた。
「や、め……」
何してるんだこいつ、やめろ、まずいまずい、と、どうにか離そうと、夕希の舌先を軽く噛む。
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