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はっ、と意識が覚醒する。
目を開けて重たい頭をなんとか動かすと、寝室のベッドにいた。
視線だけ窓辺へ動かすと、外の光が漏れているのがわかる。――朝だ。
昨日の記憶が曖昧だ。メンバーと飲んでて、夕希が表れて、抱きついてしまって……。
そこまで思い出して、一気に頬がかあ、と熱くなるのが分かる。
酔ってたからと言えど、あれはひどい。恥ずかし過ぎる。
メンバーの気配は無いけれど、みんな帰ったのだろうか。夕希は?
「あっ、帆多留さん、起きました?」
考えていると夕希が突然寝室を覗いて来て、驚いて心臓が飛び跳ねる。
「何でここにいるんだよ……」
自分の出した声が、思いのほか枯れていた。そういえば喉がかさかさとしていて少し痛い。
酒にやられたのか。今日がオフで良かった。もっとも、オフの前日にしかメンバーと飲むことも無いけれど。
「昨日、帆多留さんの介抱任されて。泊まらせてもらいました」
「みんなは?」
「メンバーの皆さんなら夜帰ったっすよ」
あいつら絶対面白がってんだろ……。
溜め息をついて起きようとするけれど、身体が鉛のように重たい。
「大丈夫ですか? もうちょい寝てて下さい」
「いや……」
心配そうにそう言われるけれど。
酔っ払った姿を晒したあげく、こんな情けない自分を見せていることに耐えられず無理やり身体を起こして床に足をつけて立ち上がった。
ふらりと身体が揺れて、バランスを取れずに転びそうになる。
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