episode5

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 熱愛報道なんてただのでっち上げで、根も葉もない嘘だと言いたい。でも。  ――忘れて下さい、俺のことも。  こちらが何かを言う隙もなく、そう言われてしまったことを思い出して、ため息を吐くことしかできなかった。  そういえば、今日は何も食べていない。  IHの電源をつけて、味噌汁の入った片手鍋を温める。  料理なんて普段全然しないせいで、コンロ周りが異様に綺麗だ。  夕希はどうして、あんなことを言ったのだろう。本当にもう、会えないのだろうか……。  スープマグによそった味噌汁を、立ったままキッチンですする。  美味い。二日酔いの胃袋にも、落ち込んでいる気持ちにも、あたたかく染み渡っていく。それがどうしてか、ひどく悲しかった。  報道のことは、もう、消すことはできない。時が経って、世間の記憶から薄れていくのを待つしかない。  けれど。やっぱり、夕希とは、このままなんて嫌だった。  あの笑顔を、もう一度隣で見たい。  もう一度、名前を呼んで欲しい。    マグの中の味噌汁を飲み干して、玄関に向かう。  外に出て、隣の部屋のドアの前に立った。    
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