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思わず好きだと言ってしまえば、頭の先からつま先まで、全身が脈打っていく。
体全体が熱を帯びたような、けれど指先だけ冷えきっているような居た堪れない感覚で、帆多留は俯いて夕希の返事を待った。
「……俺も、好きですよ帆多留さんのこと」
思わず、ぱ、と顔を上げる。
今度は緊張ではなく、嬉しさでからだじゅうが脈打つ。
好きな人に、好き、と言われるのがこんなに嬉しいなんて、知らなかった。
「だからこれからも、応援してますね」
けれど夕希が続けたその言葉には、はっきりとした拒絶が含まれていた。
笑顔を作っているけれど、目の奥が笑っていないことに気付けないほど鈍感ではなかった。
暗に、もう関わらないでくれ、と、言われているのだ。
そういう意味の好きじゃなくて恋愛としての好きなんだと、言い返すことももう、許されない気がした。
「……ありがと。じゃあ」
それだけ言って、静かに部屋を出た。
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