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「今週も始まりました、SEASONSのラジオ、ワンシーズン。今週のパーソナリティは市瀬帆多留と」
「白石冬音です。お願いします」
「お願いします。冬音と2人で仕事するの久しぶりだね」
ラジオ番組の台本を読み上げつつ、アドリブトークを繰り広げていく。
着々とコーナーは進んでいき、番組に届いたメッセージを紹介する時間になった。
帆多留が紙に印刷されたメールを読み上げる。
「では視聴者の方からいただいたメールを読んでいきますね。ラジオネーム、ハナさんからです。『この前発売された咲久くんのソロ曲、大好きで毎日聴いています。帆多留くんのソロ曲も楽しみにしてます』。はい、ありがとうございます」
「どんな曲にするとか、考えてるのか?」
「それはまだ内緒です」
そう言ってふふ、と笑いを付ける。
ソロ曲、な。考えねーとな。
ふと我に返ったら夕希の顔が頭に浮かんでしまう。だめだ、仕事に集中しないと。
夕希のことをすべて忘れようと思っていたのに、簡単には頭から出ていってくれなかった。
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