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何をしているの!
小さなスーパー。
本来、雄二は裏方の仕事であったが、本日は人員不足によりレジの担当をしている。
「いらっしゃいませ、レジ袋はご利用ですか?」バーコードを読むハンディで商品をなぞりながら聞く。
「有村さんですね?」突然名前を呼ばれて、雄二は顔を上げる。そこには長い黒髪の美女が立っていた。歳は二十代半ばというところであろう。
「え、ええ。僕は有村ですけど」胸のプレートに目をやる。そこにはひらがなで『ありむら』と書いてあった。クレームかなにかなのかと彼は少し恐縮する。
「あなたはこんな所で何をされているんですか!?」女はレジのカウンターを両手で叩いた。
「えっ、何って・・・・・・・、会計ですけど・・・・・・・・」彼女のその勢いに少したじろいだ。
「あなたはこんな事をしている人ではないはずです!」女は顔を突き出してきた。もう少しで雄二の顔とぶつかりそうな勢いであった。
「ちょっと、どうしたの有村君!?」騒ぎを聞きつけた店長が奥から飛び出して来た。
「いや、あの、僕は・・・・・・・、何も・・・・・・・・」雄二はあたふたしている。
「ちょっと来なさい!」女は雄二の耳たぶを掴むと引っ張りながら、表に連れて行った。
「い、いてててて!!」雄二の顔は苦痛に歪んだ。
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