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今日は簡単に言うとミルクの採取。
ただしこの土地に乳牛はいない。
男気溢れる闘牛は居るけど、見境なしに攻撃してくるし、軽めに地形まで変えてしまうようなのだから、余程でないと近付かない。
この土地でのミルクは名付けて「ミルクスライム」というモンスターから採取出来る。
とはいえ、ただ倒すのではなく、スフィアを活用してこのスライムの水分を分解して採取する必要がある。
「それじゃあひとまずここでいいかな」
洞窟の入口にスフィアを凝縮したエネルギーの塊を設置する。
このスフィアに使用するのは桃色のスフィア。
桃色のスフィアには誘引作用があって、モンスターは基本的に誘い出される。
どうやらフェロモンのようなもので、発情期のモンスターに使用すると、大変なことになるので注意。
「洞窟内にはたしかミルクスライム、ゴブリン、荊鼠が生息してて、記憶では地下3階層まで到達してたかな」
この洞窟は地球ではダンジョンと呼ばれる形態をもつ。
階層と呼ばれる自然に作られた、もしくは人の手を介していない区分けが成されている。
1階層では主にミルクスライム、2階層からゴブリンと荊鼠が現れる。
ミルクスライムは陽の光を嫌わないが、残りの2匹は極端に明かりを嫌う傾向がある。
ゆえにスフィアの塊を置いておけば、まず1階層には上がってこないのでミルクスライムのみを意図的に狙うことが出来る。
「暇な間にスフィアの補給と、再構築をと」
私が知る中ではスフィアの使用方法は大きく分けて3つ。
1つ、凝縮。
塊にして、それぞれのスフィアの特徴を最大限引き出す。
2つ、再構築。
本来、スフィアは結晶のようなもので、その本来の姿に戻すことで本来の役割を取り戻す。
3つ、調合。
スフィアの性質を掛け合わせる、または、異なる性質を合わせてまったく新しい概念を持たせる。
私が出来るのはこの3つ。
「今日は冷たい白色のスフィアも風に乗って運ばれてきてるから、集めとこうっと!」
『フユンッ!フユンッ!』
独特の鳴き声が薄暗い洞窟の奥から、水気を孕んだように篭った音となって耳に届く。
ミルクスライムだ。
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