原祖の魔女

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「今日もたくさん頂くよ!」  まずは短刀に無色のスフィアを纏わせる。  無色は空気中、何処にでも存在し、その性質は千差万別。  基本的には物理現象にしか関与しないが、例えばスフィアを鋭利に固めて、「刀の切れ味を上げる」ことも出来れば、凝縮して「物体の質量をあげる」ことも出来る。  つまりこれは切れ味を上げるために纏わせてる状況。 「スパッとね」  意図も容易くスライムを一刀両断し、動けなくする。 「そして今度は無色に白色を混ぜて……」  無色をミルクスライムに纏わせて、「物量を軽くする」イメージ、端的に言えば、「浮かび上がる」イメージをつくるとスフィアがミルクスライムを包むように囲い、そこに白色を混ぜ込んでいく。  白色の特性は「スフィアの性質をより高める」もの。  これで「スライムを構成するミルク成分のみを持ち上げる」イメージで、分離させる。  ミルクスライムの体からミルク成分が浮遊して、それを私はポーチから取り出した瓶に詰め込む。 「濃縮ミルクの完成、っと」  こうして私は食料調達をしている。  そこに普段感じられないスフィアが吹きつけて、私はそのスフィアの元に視線を送る。 「こんなところでスフィアの起源を使いこなすものがいるとはな」  目の前には黒髪ロングをたなびかせて、漆黒のようなそれはすべての色をごちゃ混ぜにしたような不安定さを孕みながらも、どの色よりも太陽の光に照らされて輝いていた。 「(わらわ)は『原祖の魔女』、ティエリアだ」  簡単ではあるけれど、これが私の師匠との出会い、そしてスフィアを求めた旅の始まり。  そう、これからが私の物語。
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