聖戦と呼ばれた1日

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「というわけだ、後は任せたぞ」 「任されるのは確定なんだね」  当然だ、と言わんばかりに頷いた師匠は私に魔力を伝達する。 「魔力とスフィアのバランスに気をつけろ、スフィアの器は精霊のせいで飽和しているから魔力だけを渡すぞ」 「バランスってなんかコツとかあるの!?」 「口で説明するには5年程、時間が足りんので身体で覚えろ」 「うそでしょ!?」  魔力が身体に溶け込んで、身体の深奥が熱を持ったような感覚。 「待ってはあげませんよ」 「わっ! ちょっと!」  スピリッツの斬撃に近い拳を受け、吹き飛ばされて着地するまでに気付く。  それは荒々しい棍棒のような、それでいて切れ味の良い(なた)のような衝撃であったが、ほぼ無傷。  無敵感に気付くとともに欠点にも気付き始める。  ダダ漏れと言わんばかりに魔力が溢れ出す。  スフィアはその感覚を細くしたり、緩やかにしたり制御するだけでいい。  だが魔力は有限ゆえに、止めたり出したり出来なくてはすぐに枯渇するのは目に見えていた。  だがそれを抑え込むのは難しくなかった。 「荒削りですが、飲み込みが早いですね」  スピリッツは脅威を感じ始めていた。  そして師匠が揺さぶりをかける。 「驚異的な成長は対峙する危機の大きさに比例することがある、なによりそういう逆境に強い人間が稀にいるんだ」 「それがこの小娘と言うのですか?」 「見てればわかるさ」  師匠は残していたスフィアで細胞の分裂、再構築を加速させる。  あわよくば一撃分くらいはと策を講じているが、やはり回復には時間を要するようだった。
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