聖戦と呼ばれた1日

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「それでも私の方が総量では上ですよ!」  突然の魔力主体の闇属性魔法。  放たれた影のような黒い塊が私の身体を包み、肌が黒く侵食される。  素早く動いたり、スフィアで弾き返そうとしてもなかなか剥がれず、鈍い痛みが侵食箇所に現れる。 「四重奏魔法(クワトロスペル)陰炎陽焔(いんえんようえん)」  内側には黒く鈍く燃える炎と、それを円を描き巻き付く黄色い焔。  これは貫通力もあり、持続力もある。  本能的に私が取った対応は蛇型のスフィアに魔力を孕ませて、より濃密なものにするというシンプルな方法。  そしてその蛇に取らせた行動はよりシンプルだった。  放たれた莫大な魔力の()を蛇は喰らったのだ。 「そんなことをしたら弾けるに決まってますよ!」 「そうはさせないもん!」  スフィアを外から取り込み、スフィアの外殻を纏い始める。  その外殻は内からの魔力膨張を抑え込み、更に外からの攻撃に強くなる。 「ではこれでどうかしら?」  槍状に研ぎ澄ませた魔力を蛇に向けて螺旋状に射出すると、その周囲にかまいたちが生まれる。 「これで終わりです!」 「終わらないよ♪」 「何?」 『僕達を還して(・・・)』  私の中の精霊が、その精霊に呼応するように取り込まれていた精霊の意思が、私にははっきり見える。 「みんな、私に協力して、みんなは、この星はこんな終わり方をしちゃだめだよ」  私には精霊の悲鳴が聞こえてきていた。  私の中の精霊がそれを聞かせてくれた。  その言葉としては理解できない言霊。  私にだけ理解出来た。
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