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原祖の魔女
この世界は宇宙の片隅、小さな小さな惑星。
緑に富んだこの星の名前は「フィリア」。
地球という惑星に人類が住んでいた頃、木々とは人より遥かに大きく、雄大であったというが、この惑星では更にその体躯は大きく、雲を突き抜ける大木もあるそうだ。
惑星の大きさも地球は比較にならない程に巨星なのだと資料を読んで知った。
そんな自然豊かで大いなる星に生まれた私は「ユーフィリア」。
母がこの星のように美しく、雄大な心を持って欲しいと名付けた名前だ。
そんな名前の授かった私はそうなれる様に、日々精進しているけれど、まだまだ程遠い。
「ユーフィー、お母さんがご飯と言っていたぞ」
「はーい」
ここは平原に佇む名前もない小さな農村。
そこはこの雄大な星の、那由多の生命体に囲まれた人住まぬ土地。
今日も肌寒い風が吹き抜けて、平原の花が朱く、空は碧く、鱗を生やした黒龍が地上に影を刺して、全ての色を台無しにする。
「さぁて、食後は理想の景色を目指してひと狩りしますか」
これは私の理想の世界を得る為の、悠久の星々に見守られた人生の物語。
「そう、これが私の物語なの」
振り返った私は美味しそうな香りのする赤レンガの家へ、お父さんの背中を追っていく。
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