利口な餓鬼

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鬼さんこちら 手の鳴るほうへ 未知の道を開拓する者を 囃し立てるように手を叩く こんなずじゃなかった 生まれた時代が悪かった 責任を転嫁して 情熱を鎮火する 痛い奴を上から見下す 否定的な人間の指定席 我が物顏で座る あいつは一体だれだ? 善意に変換した欲求で 正義の剣を打ち切りつける 挑む者と逃げた者 追う者と追わせない者  あの頃の自分に誇れる物は 何も残ってはいなかった 否定の共感の強要 3色光った信号機 動けなくなった挑戦者 空白が増えていったカレンダー 過去の栄光も挫折も 面倒なもの全部取っ払って 邪魔する者は追っ払って 自分に酒に酔っ払って 鬼ごっこの鬼を決めないかい 鬼さんどちら もういいかい 若木の木陰に隠れる自分を 探してくれる人はもういない 母の愛を受け止めて 父の背中を追いかけた 図体は肥大して 心胆は萎縮した 時の流れに置いてかれた 暗い過去の人間のしたり顔 歪んだ鏡に映る こいつは一体だれだ? 冒険へ連れ出そうとする者を 偏見の盾を構え跳ね除ける 拒む者と信じた者 愛した者と愛された者 あの頃の自分に誇れる物は 何も残ってはいなかった 規定の日常に失望 感覚狂った反抗期 影に隠れて傷ついた 行き場を失った観測者 今の信仰も稚拙も 面倒なもの全部取っ払って 水差す者にそっぽ向いて 偽りの自分に嘘ついて かくれんぼの鬼を決めないかい 未定の将来に高揚 心の在り方改革期 付き纏う過去の過ちも 自分の今の存在価値も 未来の不安も心配も 面倒なもの全部取っ払って 輝く銀歯を食いしばって 一生懸命に腕振って あの日の夢を追わないかい 自分の歌を歌わないかい
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