10年後の私へ

2/7
前へ
/7ページ
次へ
それは高校三年生の春。 卒業式の朝だった。 その日はいつもより一時間以上早く起きて、学校に 向かったっけ。 雑誌を参考にして髪型も頑張ったし、メイクも先生にバレない程度に薄くした。 それは卒業写真に可愛く写りたいからとかじゃなくて、好きな人の目に可愛く映りたいから。 彼は小学校からの幼なじみで、今更女の子らしく したって仕方ないかもしれない。 でも少しでも意識して欲しいって言うのは、好き なんだから当たり前だ。 珍しく"大事な話があるから"なんて呼び出したのは 私。 卒業してしまったら、別々の大学へ通うことになる。 そしたらもうなかなか会えなくなってしまう。 だから私はありったけの勇気を振り絞った。 ───今日、告白をする。 待ち合わせ場所である体育館の裏に着いた私は、彼の姿を見つけて声をかけようとした。 「お.....」 でも"おはよう"の言葉は出てこない。 彼の他に誰か居るのを見つけてしまったから。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加