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それは高校三年生の春。
卒業式の朝だった。
その日はいつもより一時間以上早く起きて、学校に
向かったっけ。
雑誌を参考にして髪型も頑張ったし、メイクも先生にバレない程度に薄くした。
それは卒業写真に可愛く写りたいからとかじゃなくて、好きな人の目に可愛く映りたいから。
彼は小学校からの幼なじみで、今更女の子らしく
したって仕方ないかもしれない。
でも少しでも意識して欲しいって言うのは、好き
なんだから当たり前だ。
珍しく"大事な話があるから"なんて呼び出したのは
私。
卒業してしまったら、別々の大学へ通うことになる。
そしたらもうなかなか会えなくなってしまう。
だから私はありったけの勇気を振り絞った。
───今日、告白をする。
待ち合わせ場所である体育館の裏に着いた私は、彼の姿を見つけて声をかけようとした。
「お.....」
でも"おはよう"の言葉は出てこない。
彼の他に誰か居るのを見つけてしまったから。
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