10年後の私へ

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彼と一緒に居る人。 それは隣のクラスで人気のある可愛い女の子 だった。 何を話してるかはこの距離からは聞こえない。 ただ何をしてるのかはハッキリと分かった。 彼がその女の子にある物を手渡す。 それは金色に光るボタン。 見間違えるはずのない、制服のボタンだ。 「あっ」 思わず両手で口元を抑えた。 さっきまでドキドキしていたはずの胸は、今度は ジクジクと痛んだ。 胸が痛い。 息を吸うのも苦しいほどに。 そのボタンをもらった子は恥ずかしそうに微笑んだ。  可愛い女の子。 私が頑張ってもなれないくらい可愛く見えた。 急に、今までやっきたことがバカらしくなった私は 回れ右をして待ち合わせの場所を去る。 私が欲しかったはずのボタンは、あの女の子の手に 渡ってしまった。 それは仕方ないことだって分かってはいるけど 溢れる気持ちは止められない。 行く宛もなく駆け込んだ早朝の誰も居ない教室。 自分の席に座った私は呆然と黒板を見つめた。
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