0人が本棚に入れています
本棚に追加
それは流し込んだ全てが戻ってくるまで終わらなかった。
吐き出せる場所に何時間いたのかも分からない。
喉が熱く、何かが通る度に痛みが伴う。
眠気が襲ってきて目を閉じそうになると、猛烈な吐き気に起こされる。
吐き出すためには水分が必要だった。
吐き出し終わらなければ眠れない。
私は眠る為に水を飲んだ。
ぼーっとした頭の中で、ああ、本当に吐くんだなと、自分の記憶を確かめながら、生きようとする身体の強さを感じていた。
何度も何度も繰り返し、やっとお腹の中が空っぽになった。
その先に待っていたのは命の終わりでは無かった。
本当は分かっていた。
こんなんじゃ死ねない事なんて。
もしかしたら睡眠不足と栄養失調もあるので、この行為でも命の危険なのかもしれないし、このまま眠るように終われたら良いのにって気持ちが無いわけではない。
けれど、心から死のうとして行った事では無かった。
だって私は終わらせる事ができないんだから。
それでも…
ああ、やっと眠れる。
ただ眠りたいという欲で目を閉じる事ができる。
今はそれがとても嬉しかった。
お腹の中が空っぽになった私は、ベッドの上で横になり、そのまま直ぐに眠りに落ちた。
目が覚めた時にいたのは変わらない自分の部屋。
いつ眠りについて、何時間眠っていたのか分からなかった。
空腹のお腹とヒリヒリと痛む喉。
何度も吐き出したけれど、私の苦しみは少しも減る事は無く私の中にあった。
致死量までにはまだ足りない。
致死量の薬がどれ程なのかは分からない。
何の薬をどれほど飲めば命が終わるのか、その時の私にはその知識は無かった。
けれど、致死量に必要なのはきっと薬の量だけでは無い。
致死量の薬を飲めんでしまう何かが無ければ、大量の薬を飲もうとなんてしないんだから。
致死量ほどの何か。
何かに当てはまるのを見つけるまで、私にはきっと終わらせる事はできない。
最初のコメントを投稿しよう!