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あの時に捨てられた記憶はまだ忘れていない。
その日以外にも捨てられそうな事は何度かあった。
朝起きたら姉がおらず、姉が捨てられていた事もあった。
捨てられる理由は思い出せないけれど、捨てられるほどの事だったのかな。
親になっていない私には親の気持ちは分からない
けれど、躾の為とはいえ子供を捨てるという行為ができる事に対する黒い感情がずっと残っている。
悪い事をしたから。
それが躾の方法だから。
私も子供の時はされていたから。
他の家庭でもそうだから。
だから子供を捨てる事は間違っていない。
そう言われて、そう思い込んで、本当に捨てられた訳じゃないから幸せなんだって自分に言い聞かせて、私もちゃんと生きていかなければ。
何度も何度もそう思った。
そして今もまだ思い続けている。
アルバムの中には笑ってる私がいるのに、その時の記憶なんてほとんど無い。
それなのに、写真に残っていない思い出したくない瞬間は頭の中に沢山残っている。
きっと嫌な記憶が多すぎたんだ。
私の記憶の容量が、どんどん嫌な記憶で埋まっていく。
幸せな記憶のスペースさえも使って、いつしか頭の中は嫌な記憶で埋め尽くされてしまうかもしれない。
そう思うほどに、上書きさえさせてくれない忘れたい記憶たちが増えていく人生。
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