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リセット
ある朝、テレビに映っていたのは坊主頭の女の子。
現役のアイドルが坊主にした。
泣き腫らした顔で謝罪する姿から目が話せなかった。
そのアイドルを応援していた訳でもなく、坊主にした理由も私にはどうでも良かった。
ただ、その姿が私は憧れた。
私にできる事があったのだと気づけたから。
坊主にしたいと憧れた事など無いし、私は長い髪が好きだ。
だけど、私は私の髪が嫌いだった。
馬鹿にされ、嫌なあだ名を付けられ、美容室に行けば必ず気にしている事を言われ、自分を苦しめる存在でしかなかった。
こんな髪の毛なんて無くなればいいのにって何度も思った。
人に触られるのを嫌い、自分だけで向き合い続けた。
ああ、いいんだ。
私もこうすればいいんだ。
そう思い、私はハサミを手に取った。
髪は女の命。
まだ自分の命とさよならできないないなら、女の命を私から奪ってやろう。
頭を丸める。
この行為が償いになんてならなくても、見えない心の証明になるかな。
そんな思いもあったのだろうね。
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