遠い緑の星のうた

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ずっと昔にほろびてしまった イルカという動物を見た ずっと昔にもういなくなった キリンという動物を見た ずっと昔に消えてしまった オオカミという動物を見た そして ずっとずっと昔にもう会えなくなった、  ツバメという名前の、小さな小さな鳥を見た わたしがくらす灰色の町の、博物館のおくで――  その詩の最初の部分を初めて読んだとき、  ああ、負けたなと。わたしは思いました。  わたしには書けない。書けないよ、こういう、きれいな詩は――  書いたのは、ココロです。  フルネームは、シキシマ・ココロ。  でもわたしは―― いえ、わたしたちは、いつもその子のことを、  ココロ、と呼んでいました。
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