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その2
そして、いきなりといった感じで、タカハシがテンション高く口を開いた。
「わかりました‼それなら、ここまで麻衣に仕掛られてるんですから、こっちからも一発かましてやりましょう、ここで…。ヤツを試すんです。今の麻衣の我々に向かうスタンスは、相和会にとって極めて都合がいい。それを貫けるかどうか…。こっちも受けてるだけでなく、ノボルさんが麻衣と対峙するからには、ヤツの手腕をこの目で確かめてもらう。どうですか、それで…」
「ああ、いいな、それ。でよう、タカハシ…、具体的に何をやらかすってんだ?」
隣にかけている武次郎はその巨体を乗り出し、タカハシの顔を覗き込むように尋ねた。
それは、この空気を歓迎した表れでもあった。
...
「そうですね…。ここは砂垣に狙いを定めましょう。ヤツを嵌めて、麻衣がどう動くか…。もし、麻衣が今般、スクラップ・プールの頂上決戦を経て共同戦線を結んだ都県境の女勢力を駆りだせば、麻衣の示している我々との対立構図、ヤツの立つスタンスに矛盾を生じることになります。果たして麻衣はどういった対処にでるか…。それで、ヤツの深意も諮れます」
「おお、それは面白い。たっぷりと麻衣のお手並みを拝見する。それを踏んでご対面って訳だな?フフ…、楽しみが増えたわ」
「…」
ノボルのリアクションがいわゆるノリノリだったせいか、他の3人はやや戸惑い気味といった様子を隠せなかった…。
...
そのノボルはさらにタカハシに問うた。
「そうなると、砂垣にはどいつをぶつけるかだが…。タカハシはアテがあるんだな?」
「ええ‥、格好の連中が、ちょうど人を介してウチに売り込みかけてきてるんで…。そいつらを使ってみたら面白いかなと…」
「ふふふ‥、それ、西東京の坊ちゃん連中だな?」
「ピンポンだよ、武次郎さん」
「石堂グループか、それって…⁉」
「椎名…、奴らならこっちとのつながりも周りから見たら、今一ファジーだし、今回の仕込みにはちょうどいいよ。石堂だって、せっかくのチャンスと受け止めて必死でかかるさ」
「そうだな…。ノボルさん、タカハシ案でいくか?」
「ああ、それで進めてくれ」
”あの時…、タカハシはオレの行動を理解してくれた上で、更なる手を立案して方向付けしてくれた。ヤツは可能な限りオレをフォローしてくれてる…。だが…、どこか手放しとはなれない…”
同床異夢…。
大打ノボルの頭の隅には、その4文字がぼんやりと姿を現わしていたのかもしれない…。
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