莉子と央人

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「いたいた」 迎えに来た莉子に背を向ける。 俺は今ちょっと拗ねている。 好きな人と同じ家に帰るのは、 この上なく幸せだけど、 ケンカだってしてしまう。 でも単純な俺たちはケンカしたら行くとこはひとつ。 しゅんの広場—。 だからすぐにお互いを見つけることができる。 「お前ら今月ケンカしすぎ」 そんなことを言いつつ。 しゅんはなんだか嬉しそうだ。 「今月飲み会多いからね」 俺のダチも今ではもう莉子の味方ばかりだ。 「莉子が飲みいくたんびにすねてんなよ」 しゅんは莉子に冷たい飲み物を入れて渡している。 そのしゅんのおもてなしにも、嬉しそうに受け取る莉子にも、 また嫉妬してしまう。 「だいたい莉子の会社、イケメン多いんだよ」 「いやその顔がいうか」 俺の大人げない嫉妬の言葉にみんながツッコむ。 「こんなにきもちやきとか知らなかった」 「それな。イケメンじゃなかったらキモいしひくわ」 みんな口々に俺をからかう。 ふんっ好きにいったらいい。 「でも私の方がやきもちやくし、 央人のやきもちは嬉しい」 ほら見ろ莉子はこういってくれるんだよ。 俺はどや顔でみんなのほうを見る。 「どう見てもありゃ莉子が苦労するな」 どうやら俺の見方は少ないようだ。  「央人ごめんね。 迎えに来るのい遅くなって、 おうち帰ろ?」 いつもそうだ。 莉子にそんな顔されたら、 やきもち焼いて怒ってたのも許してしまう。  「うん」 と莉子の肩をだく。 「じゃ 帰るわ」 莉子もコップの中身を飲み干して、コップを洗って伏せている。 「人騒がせだな」 そう言いながらもしゅんは嬉しそうだ。 「でっかいガキじゃんね」 広場に集まったやつらにあきれられる。 「莉子気を付けて帰れよ」 みんなに見送られて俺らは家路をたどる。 「央人」 莉子が俺の名前を呼ぶ。 「ん?」 「好きだよ」 突然の告白はいつものこと。 「俺も、大好き」 俺は世界一大切な莉子の唇に、 そっと莉子の唇に俺の唇をかさねた。 満天の星からも莉子を隠して閉じ込めるように。
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