しゅん に

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しゅん に

莉子と2人きりで話すのは初めてだった。 思ったより良くしゃべるな(笑)。 良く笑いまっすぐに俺を見るくせに、 視線を合わせたら伏し目がちになる。 まぁ美人ではないけど、 可愛がりたくなるタイプかな?  「莉子彼氏とかいないの?」 唐突な質問にきょとんとしている。 でもしばらくして、 「いない」 都、地面を見ながら莉子は言う。 これだめな質問だったかな? まぁ確かに、大きなお世話だよね。 「しゅんは?」 話の流れ的にそう聞かれるのはわかっていた。 「俺?いないよ。彼女も彼氏も」 半分まじめ、半分はぐらかすために答える。 「しゅんはどっちからももてそうだしね」 莉子も笑って流す。 サァっと広場に風が流れていく。 それになびいた莉子の前髪に思わず指を絡めてしまった。 莉子は少しピクッ!となったけど、 すぐに俺に委ねる。 あれ?こういうの慣れてるのかな? とか勘ぐってしまうけど、心地よくてやめれない。 莉子が俺だけに見せる表情は、のどをならす猫みたいな顔。 「ねぇ 莉子?」 「ん?」 「央人と何かあった?」 「え?」 単刀直入に聞くと少し目をひらいたが、 すぐに俺の手に自分の手を重ねながら、 「んーん 少しだけ仲良くれたかな?」 と返して来た。 何それ?  「央人は私とは正反対な感じしてたけど、 怖がらないで話せるようにはなったって感じかな?」 「央人のこと怖かったの?(笑)」 「リア充じゃん(笑)陰キャの強敵だよ」 そう言って笑ったけど、 核心のところは聞き出せなかった。 莉子を意識したことはなかった。 けれど俺の中で急に央人に変な対抗心が芽生える。 自分の気持ちに少しとまどいなから、 莉子の横顔をみつめた。
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