3人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
しゅん に
莉子と2人きりで話すのは初めてだった。
思ったより良くしゃべるな(笑)。
良く笑いまっすぐに俺を見るくせに、
視線を合わせたら伏し目がちになる。
まぁ美人ではないけど、
可愛がりたくなるタイプかな?
「莉子彼氏とかいないの?」
唐突な質問にきょとんとしている。
でもしばらくして、
「いない」
都、地面を見ながら莉子は言う。
これだめな質問だったかな?
まぁ確かに、大きなお世話だよね。
「しゅんは?」
話の流れ的にそう聞かれるのはわかっていた。
「俺?いないよ。彼女も彼氏も」
半分まじめ、半分はぐらかすために答える。
「しゅんはどっちからももてそうだしね」
莉子も笑って流す。
サァっと広場に風が流れていく。
それになびいた莉子の前髪に思わず指を絡めてしまった。
莉子は少しピクッ!となったけど、
すぐに俺に委ねる。
あれ?こういうの慣れてるのかな?
とか勘ぐってしまうけど、心地よくてやめれない。
莉子が俺だけに見せる表情は、のどをならす猫みたいな顔。
「ねぇ 莉子?」
「ん?」
「央人と何かあった?」
「え?」
単刀直入に聞くと少し目をひらいたが、
すぐに俺の手に自分の手を重ねながら、
「んーん 少しだけ仲良くれたかな?」
と返して来た。
何それ?
「央人は私とは正反対な感じしてたけど、
怖がらないで話せるようにはなったって感じかな?」
「央人のこと怖かったの?(笑)」
「リア充じゃん(笑)陰キャの強敵だよ」
そう言って笑ったけど、
核心のところは聞き出せなかった。
莉子を意識したことはなかった。
けれど俺の中で急に央人に変な対抗心が芽生える。
自分の気持ちに少しとまどいなから、
莉子の横顔をみつめた。
最初のコメントを投稿しよう!