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第7話:手紙
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恩田くん、かなりお久しぶりです。平田久美子です。
今は結婚して、佐伯久美子になりました。私の事、覚えていますか?
突然ごめんなさい。こんな手紙を渡されて、きっとびっくりしていると思います。
この手紙は、病室で書いています。
病気で手術して、ずっと入院しています。
点滴やらチューブやらモニターやら、色々な物に囲まれています。
何となくだけど、先は長くない気がしています。
みんなの様子で、何となく分かるんだよね。
いつかはこの世を去るっていうのは、分かってはいるつもりだけど、いざその時が見えてくると、やっぱり怖いな。
久々の手紙なのに、こんな内容でごめんね。
もう、ずーっと会っていないのに、最近は恩田くんのことをよく思い出します。
楽しかった思い出がたくさんで、幸せでした。
恩田くんの、何事にも一生懸命な姿が大好きでした。
でも、一緒にいることで迷惑かけてばかりだったなと思って、今さらながら申し訳ない気持ちにもなったりします。
恩田くんが日々頑張る姿を見て、私も頑張れました。
努力する大切さや、ひたむきさを教えてくれました。
あれから私は、恩田くんに話した、英語の先生になるという夢を叶えることができました。
恩田くん、たくさん応援してくれたよね。
そして、仕事がきっかけで、夫とも出会えました。
夫はとても優しくて何でもできて、私にはもったいないくらいの人です。
恩田くんのおかげで、今の私があります。
恩田くんは、私の人生の恩人です。本当にありがとう。
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