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手を合わせ、久美子に心から「ありがとう」と言った。
そして、「ごめん」という言葉が、何度も何度も出てきた。
こんなにまで思ってくれている人がいたなんて。
久美子に少しでも顔向けができるよう、なるべく人の気持ちが分かる優しい人間になると誓った。
そうしたらまた、誰かを愛せるかもしれない。
人の気持ちが分かる優しい人間。
それは、久美子そのものだった。
こんな時でも、俺を思い出して幸せを願ってくれていたなんて。
その愛に包まれていたことに、俺は全く気づかず、傷つけるだけだった…。
窓の外は、よく晴れていた。
この便箋のような、青く澄んだ空。
この空のどこかに、久美子がきっといる。
…まだもう少し、魔法にかかっていてもいいかな。
魔法でも呪いでも、どっちでもいいよ。
おわり
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