きっと幸せを願ってるよ

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「ガキの頃から近くに住んで学校も同じでさ、ずっとそばにいたよな。大人になった今もお前は俺を簡単に部屋に入れる」 「ほとんど家族みたいなものだし。翔を弟に感じる」 翔の眉間にしわが寄り、「俺が下かよ」と文句を言った。 「香菜の歴代の彼氏全部を知ってるし、ダメな性格も全部見せられて知ってるわけ。そうやって気を許してくれるのは嬉しいけど、俺的には結構傷つく」 「翔はずっと嫌だった?」 「嫌だったよ。俺だってお前が誰と何したかの話は聞きたくない」 「ごめん……」 思えばいつも翔には話を聞いてもらってばかりだった。 気が付いたら横に居て、親よりも友達よりも遠慮なく話せるときがあったから。 「今度からは翔の恋愛相談も受けるから」 「何でそうなる……」 翔は額に手を当ててまた溜め息をつく。 「俺にしとけよ」 「え?」 「もう元カレの話聞かされんのうんざりだ。俺で終わりにしとけ」 「何……言ってんの?」 「お互いいい年だろ。俺と結婚しよう」 「はい?」 突飛な話に頭がついていかない。翔がこんな冗談を言うなんて驚いた。 「香菜みたいなめんどくせー女のそばに居られるのは俺くらいだと思う」 どうやら冗談ではないらしい。翔は真剣な目で私を見つめる。 「香菜が好きだよ」 「あの……翔……なんて言っていいのか……」 「ふっ」 突然翔が笑った。 「お前マジで俺のこと男として見てなかったんだな。まあいいけど」 「いつから? いつから翔は私のこと?」 「高校生くらいの時からかな」 「そんなに前から? だって翔も彼女いたじゃん」 高校の時も大学の時も、確か翔に彼女がいたはず。 「いたけど、香菜を見慣れてるせいか何人かと付き合っても全員しっくりこなかった。自然と香菜と比べちゃう」
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