6人が本棚に入れています
本棚に追加
○月×日、2ヶ月ぶりに
心療内科を訪れた。
ここ一年未満、いわゆる不定愁訴を訴えて定期的に
通っていたのだ。
「ハロー、羊子先生。」
この羊子先生とは、お互いのペットを介しての犬友でもあり、あの白い医者コートを羽織っている姿に萌えない男子などいたらお目にかかりたいぐらいのエキゾチック・オトナ美女。それなのに気さくで、デキる女の雛型のようなお方である。
羊「あら弓子さん、なんか吹っ切れたみたいね?
顔色もいいしー何かいいことあったのかしら?」
弓「え?ええまあ、人生捨てたもんじゃないなぁって‥」
羊「それは良かった〜。
それと前回お渡ししたお薬どうでした?
ちゃんと用法用量守って頂いてますよね?
ウチの患者さんで、稀に‥稀にですよ、幻覚を見たと仰る方がいらしたんですよ。
まあ、その方の場合
1日3錠を1回3錠だと思い込んで結果、3倍量飲んじゃったみたいで‥。
おウチの方によれば、その患者様ね、なんか見えない相手に向かって一日中独り言っていうか機嫌良くペラペラペラペラ喋ってたらしく‥。
いいお薬なんですが、その分効き目良過ぎるのでその点だけ、ご注意なさって下さいね。」
弓「あーあーなるほど‥‥それじゃチャオ!羊子先生」
羊「あら弓子さんたら〜語学堪能だったんだ〜」
エヘヘと肩をすくめながら診察室をお暇したが、
この背筋にちょびっと走る寒気は何?
その後、薬局でお薬を貰い、家路を急ぐ。
最近の薬局ときたら店名を
『ドラゴンパンチ薬局』と派手に改名しているのがウケるっちゃウケますけれど。
玄関扉を解錠するや否や靴を脱ぎ散らかし、
リビングの飾り棚に向かう。
「タックン‥ただい‥う、嘘ォォーォ」
そこに待っていたのは驚愕の事態であった。
最初のコメントを投稿しよう!