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弓子愛しの『辰のタックン』の姿は忽然と消えていた‥。
背筋+二の腕にかけて鳥肌ものの展開に、飾り棚のガラスに写った弓子の表情は、実写版『ムンクの叫び』と化している。
果たして彼は私の創り出した「マボロシ〜」だったのか?
今まで、私は幻覚を見続けていたのか?と。
とにかく頭の中を整理するべし!と、
弓子は、羊子先生から出されたお薬、漢方薬の類だけれども、その用量用法について説明書を確かめてみるが、
決して規定量をオーバーしているわけではないことに
いったん胸を撫で下ろす。
今朝がた、この部屋で交わした会話(テレパシー)だって、脳は鮮明に記憶している。
「このレザースーツはさ、特別な仕掛けがしてあんの。カッコいいだけじゃないよ着るだけで、勇気やる気知能筋力気力潜在能力、確実に百倍はパワーアップするねー安心確実の1年間保証も付いてる!」
「え〜夢みた〜い。あ、一個質問してもいい?
どんなに高性能で素敵なコスチュームでも、レザーだからそんなにお洗濯出来ないと思うんですよ〜?
仕事柄、汗びっしょりになっちゃうと思うんですよね当然、かなり汗臭くなりますよねー?」
「いい質問だねーさすがダテに主婦歴重ねてねえわ、
見直したぜ。お答えいたしましょっ、ジャーン♪なんと汗の匂いを薔薇の香りに瞬時に変換させる機能までお付けしましたー!」
「弓子どよめき〜〜」
今更、あのTVショッピングも真っ青のお得情報の数々が、ただの夢だったと言うの!
だから無料(ただ)はキライなの!
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