社長と秘書

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社長と秘書

「おい、秘書。今日のパーティーの招待客リストはあるのか。」 「社長、ちゃんと準備しております。」 けんちゃんと私がよく遊んでいた社長と秘書ごっこだ。 これは遡れば数十年前、私が子供の頃の記憶で、今も時々思い出す淡い初恋の出来事だ。 私は小学校1年生のとき、親の転勤でアメリカに住んでいた。 その時、近所にけんちゃんという日本人の男の子がいた。 唯一いた日本人で私はけんちゃんに懐いていて、よく遊んでいた記憶がある。 お互いをけんちゃん、あおちゃんと呼び合っていて、特に秘書と社長ごっこがお気に入りでよくやっていた記憶がある。 今となっては、なぜこんな遊びをしていたのかはよく思い出せないが、けんちゃんとの思い出で一番色濃く記憶に残っている出来事だ。 けんちゃんが社長で私が秘書で、幼い二人は社長と秘書がどういうものかよく分かっていなかったからだろう、けんちゃんは私を召使のように使って、ちゃんとできたら頭を撫でるということの繰り返しだった。 私はけんちゃんに頭を撫でてもらいたいがために、言われたことを一生懸命やっていた気がする。
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