3人が本棚に入れています
本棚に追加
「さあ、帰ろうぜ。チム、お前ぇはいいなあ、あんな可愛い娘が飯作って待っててくれんだろ?うちなんか、ひなびた婆さんがいるだけだぜ」
「やだなあ、ただの幼馴染っすよ」
「しかもお利口さんなんだろ?学者志望だってな」
「…ええ。貧民街の生まれじゃあなきゃ良かったんすけどね。俺みたいに…」
親方はチムの背を掌でばんっ、と叩いた。
「帰るぜ」
車に乗り、作業所を後にする。
遠ざかっていく背後に、はるか天へと伸びる巨大な筒が見えた。
最初のコメントを投稿しよう!