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現在。
チムはもう何度目の勤務か数えるのをやめた。
廃棄物の破片による死傷に至ること無く、廃棄口の頂上に今日も辿り着く。
そこから見る世界は本当の世界、本当の空。
本当に天空には楽園があるのだろうか
あるのなら、自分は彼女の傍らに行けるのだろうか
無いのならせめて
チムは想いを馳せると、懐から小瓶を取り出した。
今日まで決心がつかなかった。
最後に残った、サラサラとしたニーナの骨片。
夜風の吹く中、蓋を開ける。
眩しすぎる星空の元、彼女は散っていく。
ひとしきり深呼吸すると、チムはまた坑道をゆるやかに降りていった。
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