掃除屋さん

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現にチムの口からは呑気な鼻歌が漏れている。 チムはこの業務を気に入っているのだ。 だが、回収が次第に富裕層の地区に近づくと、時刻は昼に近づく。 庭で寛ぐ老婦人が鼻をひくつかせた後、露骨に顔をしかめた。 学校帰りだろう、ロースクールの子供が、なにやら囃し立てる。 内容を聞き流しつつも、チムは微妙に悲しくなった。 『シティ』を半周すると、もう夕刻だ。 人工の太陽は傾かずに、LEDの光量だけが減っていく。 薄闇の中、チムは帰社した。
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