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「おう、お疲れ、チビ公!」
同じ様に回収から帰ってきたであろう隻眼の男が車両から、チムに手を上げた。
「ドワーフ親方、早いっすね」
「あたぼうよ。おめえさんとは年季が違わあ。さっさと中身を、だいそんしようぜ」
親方と呼ばれた男は、廃棄物回収業社長…と言ってもチムと二人だけの零細企業だが。ずんぐりとした中年太りの体躯から、『ドワーフ』と呼ばれている。
二人は入り組んだ作りの作業所の奥に、車をバックさせる。
5メートル四方の、巨大な四角い黒い金属の建造物が控えている。
上部には同じ幅の円筒形の筒がどこまでも伸びている。
辿り着いた先には鋼鉄製の堅牢な扉。
長年の風雨にさらされたせいだろうか、かすれた刻印がうっすらと見えた。
『参』とある。
「親方ー。毎度思うんすが、このゲートの文字…どういう意味っすかね」
「ああ?いいから早いとこ、だいそんしちまおうぜ」
「へーい」
チムは扉脇のパネルを開け、腕ほどの太さのレバーを両手で掴むと力任せに倒した。
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