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ギシギシキイキイと金擦れの音を立て、扉が左右に開く。
奥は暗く、何も見えない。
ただ、カビた匂いの風が吹くのみだ。
親方は無言で回収車をバックで接舷し、荷台を傾ける操作をした。
がらがらと暗闇に吸い込まれるゴミ。
続けて、チムも自車にのり、同じ様にする。
親方は暗闇を一瞥すると、レバーを片手で取り元に戻した。
扉は再び金属音を奏でると、閉じた。
ドゥーム、ドゥームと警告音が周囲に轟く。
同時に、ゴゴゴゴッと何かを吸い込む様な音がした。
「毎度のことながら、ぞっとしねえな」
「外界に通じてるんすよね、これ。じゃあ、あの匂い外界の匂いなんすかね」
「さあな。外界の匂いなら毒ガスの匂いだろうよ。学校で習わなかったか?」
「俺、学校行ってないっすから」
「そうか。俺もだ」
親方はニヤリと笑った。
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