小さな太陽に照らされて

２

「ごめん！　彼氏ができたからアイドルやめるわ！」

　それが解散の理由だった。
　比奈も私と同じく底辺大学に通っていたが、彼女は大学でサークル活動に参加していた。活動は平日だけだからアイドル活動には支障がないと言っていたのに、徐々に土日もサークル仲間との予定が入ったからとライブ参加を断る日が増えていった。
　そうか、彼氏ができたのか……確かにアイドルとしてファンを裏切れないもんね……

「いや～そのまま続けようかとも考えたけど、やっぱ土日デートしたいじゃん？」

　その一言で電話を切った。
　いやいや、ユニット解散ってこんな簡単に、電話で済ませるもんだっけ!?
　しかも来週末もライブの予定入ってるんだけど!?

　ちょっと適当な部分がある比奈に代わって、最近は私がライブの申し込みやらの事務的な作業は担当していた。
　後から考えれば、これがいけなかったのかもしれない……
　私がスケジュール管理するようになってから、彼女はライブの予定を忘れてすっぽかすことが徐々に増えていった。

「ああ～……ライブどうしよう……」
　答えは決まっていた。
　今までも何度か急遽一人でステージに立っていたけど、次のライブからは正式にソロで立つだけだ。

　二人組ユニットのアイドル『ルナ』から、ソロアイドルの『月読瑠奈』が誕生した瞬間だった……比奈のバカ！