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少しずつ減っていくファンを見送り、後から始めたはずのアイドルたちもどんどん卒業し、正社員として働いた時の貯金は尽きかけていた。
若さもなければお金もない。アイドルとして新しい一面を見せるには、体力気力財力どれも欠けていた。
それでも続けているのは、少なくなったとはいえ未だに応援してくれる人たちが残っているから……星影さん、それ以外のみんな、同じ地下アイドル仲間。でも……
──さのさ、さっきの話って本気?
「え? あ、ええと、その……」
今も視聴者人数は一人、星影さんだけだ。
本気かどうか訊かれたのに、曖昧な返事しか返せない。これじゃあオタクに煮え切らない返事しかしないなんて言えないな。
──もし本気だとしても、今はまだ付き合えないかな。
「……なに、その含みのある言い方」
──だって、瑠奈さんはもし誰かと付き合うことになったらアイドル卒業するんでしょ?
……するどいな。
地下アイドルの中には、アイドル活動中に彼氏を持つことも、そしてそのまま活動を続ける人も案外多い。
結局バレてやめる人もいれば、見つかるよりも先に恋人と破局したり、中にはファンと付き合ってそのまま結婚してアイドル卒業なんて猛者もいる。
だけど私は、誰かと付き合いながらアイドルでいることはしないと心に決めていた。
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